JMDC

2021年ニュース

2021-09-17
JMDC、150万人の子ども統計ダッシュボード無償提供開始のお知らせ

株式会社JMDC(本社:東京都港区、代表取締役社長兼CEO:松島陽介、以下「JMDC」)は、病気の子どもがおかれている実態についての調査や研究の促進を目的として、150万人の”子ども統計ダッシュボード”の無償提供を開始します。

画面イメージ:グラフは新たに医療機関を受診するアレルギー性鼻炎の子どもが増加していることを示しているダッシュボードです
子ども統計ダッシュボードURL:https://kids.jmdc.co.jp/

日本では、子ども向けの医薬品開発が非常に少なく、臨床現場では、オフラベルでの薬剤使用や大人用製剤が個々の医師や薬剤師の工夫により使用されています。
疾病負荷(Disease Burden)の観点では、疾病を抱えた子どもにかかる生活負担や経済的負担など、様々な負担の詳しい調査・分析は十分行われていません。
子どもたちがどんな疾病にどのくらいかかり、どのくらいの通院や入院をしているか、といった基礎的な記述疫学も十分行われていません。

“子ども統計ダッシュボード”では、JMDCが持つ0~14歳の子ども世代、約150万人分のレセプトデータを含む医療ビッグデータ(子どもが罹患する疾病、受療行動、医療費負担、医療費助成の利用状況、受けられる医療の年齢による変化など)を、様々な切り口で分析可能です。
これまでは小児疾患について調査や研究を行う際に、調査内容の妥当性を調べることは容易ではありませんでした。例えば、小児のアレルギー性疾患で、10年前と比較して患者数がどの程度増えているのか、使用されている薬剤はどのように変化しているのか、医療費負担はどのように変化しているのか、といったことを調べるには、自施設でデータを蓄積したり、あるいは複雑なプロセスを経て公的なデータベースの利用申請を行ったり、費用をかけて民間のデータベースを活用する必要がありました。
今回提供を行う“子ども統計ダッシュボード”では、無償でビッグデータを利用することができるため、仮説をスピーディに検証して調査内容を最適化することができるようになり、小児疾患の調査・研究が促進されることが期待されます。

尚、”子ども統計ダッシュボード”は、難病を含めた小児医療の発展のためにビッグデータを活用してJMDCが始動させた支援プロジェクト「Big Data For Children」※の一貫として行っています。
※Big Data For ChildrenはJMDCの商標登録です。

また、”子ども統計ダッシュボード”について、Big Data For ChildrenでJMDCと共同研究を行っている国立成育医療研究センター、慶應義塾大学、愛知医科大学の研究者からは本取組について下記のコメントを頂戴しています。

「取り扱いの難しい診療報酬明細書のデータを視覚的に捉えられる画期的な試みだと思います。ダッシュボードで得られる結果については、注意深い医学的解釈が必要となりますが、新たなリサーチクエスチョンを得るきっかけになることを期待します。」
(国立成育医療研究センター 小児慢性特定疾病情報室 室長 盛一 享德先生

「小児患者に対し適応承認、およびそれを取得するため臨床研究は、『医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議』や、薬機法による特定用途医薬品指定などの制度的支援を受けつつも、疾患患者の大多数を占める成人に対する適応を取得することが優先されてきたため、等閑に付されてきました。このような小児適応は、海外ではTherapeutic Orphanと呼ばれ特別な立法措置による開発促進策が取られています。近年話題となっている医療ビッグデータの利活用を通じ、これまで明確になっていない小児適応を有さない医薬品の小児における使用について、我が国の現状を見える化することが重要と考えます。」
(慶應義塾大学薬学部 医薬品開発規制科学講座 教授 漆原 尚巳先生)

疾患の原因を探る疫学研究は、まず、その現状を客観的に記述するところから始まります。さまざまな疾患の経年的な変化を確認することで、社会や環境の変化が子どもの健康に影響しているのでは?という仮説につながることになり、このダッシュボードはとても有用なリソースだと思います。」
(愛知医科大学 衛生学講座 教授 鈴木 孝太先生)

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