株式会社JMDC(本社:東京都港区、代表取締役社長兼CEO:松島陽介、以下「JMDC」)と新潟大学医学部血液・内分泌・代謝内科研究室の、山田万祐子医師、藤原和哉准教授、曽根博仁教授らの共同研究チームは、65歳未満の60万人を超える医療ビッグデータ分析を行い、血糖正常、前糖尿病(境界型糖尿病)、糖尿病の3段階において、血圧が虚血性心疾患・脳卒中の発症に及ぼす影響について検討しました。その結果、これら3段階のいずれにおいても、収縮期血圧120mmHg以上の軽度の血圧上昇であっても、虚血性心疾患、脳卒中発症リスクが共に統計学的に有意に上昇することを明らかにしました。また虚血性心疾患については、血圧上昇と糖尿病との相加効果がみられたものの、脳卒中については、そのような相加効果はみられないことも示しました。

【本研究成果のポイント】

  • 血糖正常、糖尿病予備軍、糖尿病いずれの状態であっても、収縮期血圧120mmHg以上、拡張期血圧75mmHg以上では、それぞれ収縮期血圧120mmHg未満、拡張期血圧75mmHg未満と比較し、虚血性心疾患、脳卒中発症リスクが、血圧上昇度に応じて上昇していた。
  • 糖尿病では、収縮期血圧が120mmHg未満であっても、血糖正常および予備軍の収縮期血圧が150mmHgと同程度の虚血性心疾患発症がみられた。
  • 糖尿病と高血圧は、虚血性心疾患発症には相加的(加算的)に影響している一方、高血圧が脳卒中発症に及ぼす影響は、いずれの血糖状態においても、約5倍とほぼ一定であった。

■今後の取り組み
このような医療ビッグデータをさらに活用し、血圧や血糖に限らず、健康寿命の延伸を妨げる要因を分析し、生活習慣病や動脈硬化疾患の予防と治療に役立つ科学的エビデンスを構築していく予定です。

■研究成果の公表
本研究成果は、2021年5月25日、米国の学術誌「Diabetes Care」(IF:16.02)に掲載されました。
論文タイトル:Associations of systolic blood pressure and diastolic blood pressure with the incidence of coronary artery disease or cerebrovascular disease according to glucose status.
著者:Mayuko Harada Yamada, Kazuya Fujihara, Satoru Kodama, Takaaki Sato, Taeko Osawa, Yuta Yaguchi, Masahiko Yamamoto, Masaru Kitazawa, Yasuhiro Matsubayashi, Takaho Yamada, Hiroyasu Seida, Wataru Ogawa, Hirohito Sone.
掲載誌 Diabetes Care doi:https://doi.org/10.2337/dc20-2252

■関連リンク
新潟大学医学部血液・内分泌・代謝内科研究室
https://www.med.niigata-u.ac.jp/emh/index.html

【株式会社JMDCについて】

医療ビッグデータ業界のパイオニアとして2002年に設立され、「データとICTの力で持続可能なヘルスケアシステムを実現する」をミッションとしています。5億4,000万件以上のレセプトデータと2,600万件以上の健診データ(2020年3月時点)の分析に基づく保険者向け保健事業支援、医薬品の安全性評価や医療経済分析等のサービスを展開しています。また、健康度を示す指標(健康年齢)や健康増進を目的としたPHRサービス(Pep Up)等のデータを活用したプロダクト開発も進めております。

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