JMDC

2023年ニュース

2023-02-27
ハビタスケアとJMDC、生活習慣改善支援アプリ「TOMOCO」を通じ病気認知のタイプ別の効率的・効果的な保健指導の実施を検証
株式会社ハビタスケア(本社:東京都港区、代表取締役:德渕慎一郎、以下ハビタスケア)と株式会社JMDC(本社:東京都港区、代表取締役社長兼CEO:松島陽介、以下JMDC)は、神奈川県が県民の未病改善の実践のために推し進める神奈川ME-BYOリビングラボ※にて、2022年1月より県内の自治体の協力体制のもと、生活習慣改善のための支援アプリ「TOMOCO」の社会実装に向けた実証実験を行ってまいりました。
その結果、病気認知のタイプ別にTOMOCOの利用方法や利用頻度に違いがあり、病気認知のタイプ別に適切な指導方法やICTの活用提案を行うことによる、効率的かつ効果的な保健指導の実施の可能性が示唆されましたので、お知らせいたします。

なおTOMOCOは、ハビタスケアと田辺三菱製薬株式会社が共同で開発した生活習慣改善アプリであり、これまでにも今回の実証とは別に複数のフィールド、具体的には市町村で行われる糖尿病の重症化予防保健指導や特定保健指導のモデル実施といった領域においても社会実装に向けた実証試験を進めており、TOMOCOの利用率が高いほど、生活習慣の改善率が向上することが確認できております。

1.背景
近年、国内外においてヘルスケア領域においてはIT活用に向けた検討が数多く進められており、特にIT技術の進展を背景に多くの研究機関や企業がスマートフォン向けアプリケーション等の開発を進めています。とりわけ日常生活の改善の重要度の高い生活習慣病の発症予防及び重症化予防は、期待が大きい分野の一つであり、多くのアプリケーションが既に開発されています。
様々な特徴を持つアプリケーションが上市されている一方で、アプリケーションを開発し導入するだけでは生活者の利用継続、行動変容、さらには生活習慣病のリスク低減に繋げることが容易ではないことの理解が広まってきたこともあり、さらなるITの活用が期待されています。

2.TOMOCOの特徴
今回実証実験に利用したアプリ「TOMOCO」は、従来のPHR(Personal Health Record)アプリが有する生活習慣ログ、モニタリング、分析機能などに加え、保健指導に関わる指導者及びアカデミアや、ゲーミフィケーション等のアプリ機能に長けたIT専門知識を持つ有識者との連携により新たな機能を付加して開発した生活習慣改善アプリです。
TOMOCOは、ユーザーの生活習慣に関する詳細な回答を分析することで適切な目標設定を支援し、目標設定後はTOMOCOオリジナルキャラクターとのコミュニケーション、目標達成のためのコンテンツ提供を通じ、ユーザーの生活習慣改善を促します。また、ユーザーの日常記録のサマリーと、その後の目標修正に関する情報を指導者に提供することで、効率的・効果的な保健指導の実施を支援します。

3.実証実験の概要
本実証実験では、神奈川県内の自治体で実施される保健指導に加えて、TOMOCOを指導と並行して利用いただき、さらには病気認知のタイプを判定することで、病気認知タイプ別でTOMOCO内での改善行動の違いを検証しました。

実証協力市町村:相模原市・海老名市
実証対象者  :2021年1月に保健指導を開始する方で、本実証に同意いただいた24名
実証方法   :図表1を参照
実証期間   :2021年1月~2022年7月の6か月間

図表1:実証のオペレーション概要

4.実証実験の結果
保健指導開始時に、病気認知のタイプ判定に必要な8つの設問を、指導前のアンケートにより回答いただき、判定結果に基づくタイプ別に6か月間のTOMOCOの利用状況を解析しました。
その結果、TOMOCOの利用状況において、タイプ別の利用傾向が見られました。例えば、理解度低タイプの方は、指導から3か月は継続的にTOMOCOを利用いただき、かつTOMOCO内で提示しているおすすめタスクを中心に活用されていました。また、自己管理高タイプの方については、指導開始から1か月TOMOCOを利用した後は利用頻度が減少し、TOMOCO内コンテンツにおいても自身が実施されている行動の記録用としてのみの利用となりました。(図表2)
この結果から、TOMOCOの利用状況に加えて、TOMOCOへの記録内容の詳細を可視化して指導者に提示し振り返りを行うことで、指導対象者の思考や特徴、生活状況をふまえ、より踏み込んだヒアリングや保健指導に活用できる可能性が示唆されました。

【まとめ】
・病気認知のタイプによって、生活習慣改善のための行動の傾向が見られた
・病気認知のタイプの特徴に合わせて、指導のポイントやおすすめのICT活用方法の提示をすることで、保健指導の効果的な実施の可能性が見られた
・ICTの利用状況を解析することで、対象者に対する指導を踏み込んで実施することが期待できる

図表2:実証試験の結果(例:理解度低タイプと自己管理高タイプのTOMOCO利用の違い)

5.病気認知のタイプ判定について
病気認知のタイプについては、新潟県立大学玉浦助教授とハビタスケアの共同研究で、解析・判定フローの作成ならびにその妥当性検証をしています。(2021年8月~)
すでに京都府の糖尿病重症化予防保健指導モデルや大分県のICT活用事業の中で活用いただいています。
さらに、病気認知のタイプによる保健指導を効果的に実施するための動機づけアプローチのサポートコンテンツの開発も行っており、病気認知のタイプの研究・開発においては、2023年1月13日の第26回日本病態栄養学会年次学術集会にて口頭発表をしております。

図表3:第26回日本病態栄養学会年次学術集会 発表資料の一部

※神奈川ME-BYOリビングラボ
神奈川県では、県民が安心して未病改善に取り組むとともに、未病産業の持続的発展を促すため、県が県内市町村やCHO構想(健康経営)を実践する企業等と連携して、県民参加の実証フィールドを創出し、未病関連商品・サービスの検証・評価を行う事業に取り組んでいます。
URL:https://www.pref.kanagawa.jp/docs/bs5/cnt/f536534/index.html

■株式会社ハビタスケア(JMDCグループ)
URL:http://www.habituscare.co.jp/
会社名:株式会社ハビタスケア
代表者:代表取締役 德渕慎一郎
本社:〒105-0012 東京都港区芝大門1-1-21 成和大門ビル6階

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